さとちゃんとおじー 

低血糖症を煩い、仕事退職→結婚でサンフランシスコに移住。年の差国際結婚。太鼓叩き。アラフォー女子の生活。

Black like me おじーの思い

おじーが机に向かってギコギコ何かを削っている。

 

手元を見ると、スクラッチ式の宝くじだった。

 

削り終えたカードをかざして、「50ドル(5700円位かな?)当たっちゃった!」と喜んでいる。カード1枚5ドル。2枚買ってきたから10ドルの出費で40ドルの収穫。ヨシャ!!いいね〜、ついてるね〜我々!50ドルでも、そうそう当たらないでしょ〜と、喜びを分かち合った後、おじーが「実は今日、こんな事があってさ〜。」と話し始めた。

 

おじーがいつものように車を運転していた時のこと。

 

交差点で一時停車していたところ、おじーの前の車が、不注意で突然バックしておじーの車に衝突してきた。幸い、大袈裟な衝突では無かったものの、こういう不注意が事故に繋がる訳だから、おじーもこれには険しい面持ち。車の運転していた人(30代くらいのアフリカン・アメリカンのカップル)が慌てて車から降りておじーの元に駆けつけた。人の良さそうなカップルで、運転手である男性はとても動揺していたとのこと。

 

おじーが念のため、車がぶつけられた辺りを確認していると、このカップル、「いくらか現金があるので受取って下さい。」と申し出てきたそうな。

 

お金を差し出してオロオロするカップルにおじーが言った言葉。「いいか、君は同じアフリカン・アメリカンの兄弟だ。運転の不注意はいけない。それは気をつけろ。お金は受取らない。助け合うことは大事だからね。」

 

おじーの手をきつく握って、「ありがとう、ありがとう!!」と恐縮して去っていくカップル。

 

ちなみに、警察に届けて〜、保険会社が〜、という道もあるのだけど、「そうすると彼らの車の保険料が上がって、免許も違反のポイントがついちゃうでしょ。大した傷じゃないからこれくらいいいよ。」とおじー。(ま、そもそも、うちの車、ボロいしね。)

 

さて、この一連の様子を見ていた人がいたそうな。12歳位と思われる自転車に乗ったアフリカン・アメリカンの少年。車に乗り込もうとしているおじーに話しかけてきた。

一連の流れを説明をするおじー。

「それで彼らに何て言ったの?」と少年。

 

「別に何も。彼らは兄弟だからね。助け合うことが大事だよってことかな。」と、おじー。続けて「君がこの話から何か学んでくれれば嬉しいよ。」と伝えた。

 

 で、その後のこの宝くじの50ドル。「こういうことなんだよね〜。」と、突然の天からのお小遣いを喜ぶおじー。よく日本でも「何かにぶつかったら、宝くじを買え。」っていうのありますが、これ、本当だったのね〜〜。笑
(*ちなみに、その後もおじーは宝くじを買い続け、地道に小さく当てている。ま、10ドルとかそんな感じだけど。)

 

 

ちなみにその夜、テレビでやっていた映画がこれだった。

 

www.youtube.com

 

↑ まず、この予告編見て下さいまし。

 

1947年。ちょうどおじーが生まれた年。映画でもアフリカ系に対する人種差別の様子が描かれていて、おじーも過去を思い出し、目に涙を溜めて映画をみていた。

 

この映画は、アメリカで最初のアフリカン・アメリカンの大リーグの野球選手として活躍したジャッキー・ロビンソンのお話。見終わった後、感動ひとしお。。なのだけど、じゃあ、差別はどうなのか?というと、こっちは変わらず酷い状態がその後も続く。

 

今、英語のクラスで" Black like me" という本を読んでいるのだけど、この本、著者(白人)がブラック社会がどうなっているのかを知るために、肌の色を変えてブラックコミュニティーに入っていくという実話。日記形式で書かれていて、始まりが1959年。英語で読んでいるから、私の理解がどこまで正しいかちょっと疑問だけど、それでも差別の酷さは伝わってくる。アメリカの南部は特に差別が酷い歴史があり、おじーも南部の出身だから、心を痛めた記憶は身体に焼き付いている。

 

ちなみに、Black like me(邦題:わたしのように黒い夜)、翻訳されてます〜。

Amazonでみると、中古でも4800円になってたけど、図書館で借りて是非読んでみて欲しいです。または、こちら方のブログがよいです。 ↓

 

ベンジャミン・バトンよりも数奇な人生ー『私のように黒い夜』 (An Interpreter's Blog (通訳雑記帳))

 

特に、最後の辺りに書かれている著者についての文章に度肝を抜かれました。そこだけでもいいので読んでみて下さい。人生って・・・不思議。

 

最初に戻ります。

「君は兄弟だ。だから、助けあうことは大事だ。」

 

おじーはこの言葉以上の思いを込めている。今回だけでなく、どこででも。時にはアイコンタクトで、時には声に出して。おじーがアフリカ系に出会った時にはいつも。
(たまに無視されて、オマーイガッ!て2人で笑ったり。。^^;)

 

アフリカ系である我々は、逆境でも誇り高く生きていこう。そんな思い。

 

自転車の少年は最後に、" Sho you right, OG"と言って去っていったらしい。日本語にすると、「あなたの言う通りだよ、オールド・ギャングスター」てな感じなのかな。 

f:id:Satocomedy:20170421064913j:plain

Black Like Me. クラスの課題で読んでる本。知らない単語がいっぱいで、苦労しながら読んでいる。