さとちゃんとおじー 

低血糖症を煩い、仕事退職→結婚でサンフランシスコに移住。年の差国際結婚。太鼓叩き。アラフォー女子の生活。

アフリカンであるという誇り  

エルビス・プレスリーという、誰もが知ってる大スターがいる。

キング・オブ・ロックンロールと言われている人ですな。

 

私はあんまりプレスリーの事を良く知らないのだけど、先日、ESL(英語)のクラスでいくつかみた音楽の動画の1つがプレスリーだった。大好きな白人おじいちゃん先生が、ざざっと授業でアメリカの音楽の歴史をレクチャーしてくれたのだ。

 

ちなみにこのおじいちゃん先生、ブラックミュージックが好きみたいで、普段からそれを物語る言葉が随所に現れていたのだけど、今回はそれが一気に噴出していたぞ。

 

偉大なブラックミュージシャンの動画をいくつか見た後、生徒がリクエストしたのか、先生が決めたのかよく分からないけど、プレスリーの動画が出てきた。

 

「プレスリーはミシシッピーで育って、ブラックミュージックにとても影響を受けてるんだよ。」と先生。

 

プレスリーの音楽といえば、「オンリーユ〜〜」とか「マ〜〜イウェ〜〜」、とか、知ってるのもあるけれど、今回見た動画は、上記の超有名な曲ではなくて、恐らく、ロックンロールと言われるコテコテな感じのプレスリーだった。

 

で、これをみた私、とにかくプレスリーのことを良く知らないので、思わず、「これはパクリではないのかい!?」と思ってしまったのですよ。(これは私の勝手な感想です。あしからず。)10年以上前、ジャンプ&ブルース等、その辺りのブラックミュージックを聞いていた時期があったのだけど、その頃の事が、プレスリーの音楽で突如、フラッシュバック。

 

「これは、アフリカ系の人達は、プレスリーの事、良く思ってないんじゃないかな〜?」と思い、白人おじいちゃん先生に、「プレスリーは、アフリカ系の人達からどんな評価を得ていたのですか?」と聞いてみた。

 

ちなみにこの質問、アフリカ系であるおじーに聞けばいいんだけどさ、私はそこをあえて、アフリカン・アメリカンに対してとても理解の深い白人おじいちゃん先生に聞いてみたかったのですよ。

 

私の英語が上手く伝わらなかったのかもしれないが、先生の答えは、「彼はミシシッピーで育ったんだ。彼の音楽はいいではないか。」というものだった。うーん、答えになってないような・・・。(^^;)  そのまま、プレスリーを楽しむ先生。音楽が本当に好きな様子。先生の気持ちは分かったよ。私の変な質問に答えてくれてありがとーう。

 

ということで、おじーに聞いてみた。

 

「エルビス、嫌い。」

 

やっぱりそうか。。。(^^;)

 

ちなみに、日本だと「プレスリー」という呼び方が流通してるけど、こっちだと、エルビスも付けないと、「プレスリー?なにそれ?」という反応。名字だもんね。そもそも。(ちなみに、おじーに言われるまでそのことに気がつかなかった私。てへへ)

 

会話は続く。

 

私:「ちなみに、アフリカン・アメリカンの人は、エルビスのこと、どう思ってるのかなー?」

 

おじー:「好きじゃない人、多いと思うけど、他の人のことはわかんないな〜。今夜、ドゥルーピー(仮名:おじーの太鼓仲間。)が来るから聞いてみれば?ちなみにドゥルーピー、白人とアフリカンアメリカンのバイレイシャル(ハーフということ)だけどね。」

 

そうか。これはなかなか興味深いぞ。。ドゥルーピーが来たら聞いてみよう。

 

ドゥルーピー登場。

 

事前におじーからドゥルーピーに会話の主導権を与えすぎない様に・・と、言われていたのだけど、主導権を与えるもなにも、入り込む隙なくしゃべりまくるドゥルーピー。どこで息継ぎしてんだろ。。(^^;)

 

隙間を狙って、ドゥルーピーに質問してみた。

 

「エルビス、嫌い。」

 

ドゥルーピー、白人とのバイレイシャルと言っても、見た目はアフリカン・アメリカンだしね。あなたがアフリカン・スピリットを大切にしていることは、前々から知ってるよ〜。そもそもアフロのドラマーだしね。

 

「俺の親父がね、これがどうしようも無い人で、俺が小さい時に両親が離婚したんだけど、彼はエルビスに曲をいくつか書いててさ〜。エルビス自体はよいミュージシャンかもしれないけど、結局、彼ら(プレスリーを取り巻く音楽産業を指している。)は、俺たちアフリカ系から盗んでいるんだよ。」

 

おおっと。タイムリーに、プレスリーネタで曲を提供している人の話まで聞けるとは!!

 

ドゥルーピーの話は続く。

 

「でも、ピアノも、サックスもトランペットも、ジャズで使われている楽器は、アフリカのカルチャーには無かった。全部、西洋、白人文化から入ってきたものだしね。でも、それを使ってジャズができた。だから、こうやってミックスされて発展していくのはいいと思うんだよ。俺もおじーも、アメリカの歴史、音楽の移り変わりを直に見てきた。だから、ブラックミュージックが盗まれているという状況に怒りを感じている。今は時代がどんどん変わっているからね。これからの世代のアフリカン・アメリカンの子達がどう思うのかはわからないな。」

 

うーん、なるほどな。。。

 

 

少し話しは脱線するが、NIGGAという言葉がある。あえて音にすると「ニガ」が近いかな。そしてもうひとつ、NIGGERという言葉がある。こちらは「ニガー」。

 

前者のNIGGAは、アフリカ系の人達が、自分たちのルーツがアフリカであることを誇りに思うという意味も込めて、家族、親しい人、同士にむけて使っている言葉。おじーによると、アフリカ系の人だけが使う言葉だったとのこと。後者のNIGGERは、差別用語として白人の間で、アフリカ系の人を指す言葉として使われていた。

 

時代は移り変わり、昔のように極端な人種差別が無くなっていった中で、NIGGERという言葉も、昔の様に頻繁に使われることもなくなってはきた。

 

が、しかしそのかわり、NIGGAという言葉が出回ってしまった。

 

白人だけでなく、アジア系など、ヒップホップ好きな若者を中心に人々の間にどんどん広がっていくNIGGA。

 

上記に書いたように、このNIGGAという言葉は、アフリカ系の人達だけが使う特別な言葉だった。

 

この言葉をアフリカ系ではない人が使っているのを初めて聞いたおじーは驚いた。そして、直接本人に、「私の前ではこの言葉を使わないで欲しい。」と言っていたという。おじーにとっても、それだけ大切な言葉だったのだ。

 

おじーの願いはむなしく、どんどん広まっていくNIGGA。いつしかおじーは、耳にイヤホンをあててやり過ごす様になってしまった。

 

アフリカンであるという誇り。

 

過酷な状況に耐えながら生きてきた人同士だからこそ使える、特別な言葉。代々、守られてきた言葉。

 

NIGGAという言葉を使っているアフリカ系以外の人達の中には、アフリカ系の方々、カルチャーに対して、多大な尊敬の意を表して使っている人達もいるだろう。ただ、おじーが今も悲しそうに話しているのを聞いていると、それでもやはり、踏み込んではいけない域というのがあるような気がしてならない。


ご参考の動画。たまたま、今、TVでブラックヒストリーの番組がやっていて、取り上げられていたのでご紹介。彼らがラップで言っているのが「NIGGA」です。ちなみに、このグループ『N.W.A』は、Niggaz Wit Attitudes(主張する黒人達 by wikipedia) の略。有名なヒップホップグループだそうで、知ってる人も多いのでは?(私はおじーに今、教えてもらいました〜〜。もう解散しちゃったとのこと。)


NWA - Fuk Da Police

 

 

ドゥルーピーの言う様に、これからの世代のアフリカン・アメリカンの子達がどう思うのかはわからない。きっと、NIGGAもまた、プレスリーの偉大な功績の様に、アフリカンカルチャー発祥としての市民権を獲得していくのかもしれない。

 

ちなみにこのNIGGAという言葉、同じアフリカ系同士でも、使うのを反対している人もいるとのこと。

あと、いくらNIGGAが広まっているといっても、絶対使わない方が良いです。バイオレンス・アメリカ、人によっては何があるかわからんよ〜。
 

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夕日に向かって、ホラ貝を吹くおじー。きまってる〜〜♪

と思ったら、遠く、上の方から声がして、「ちょっと、静かにしてもらえます〜??」と苦情。。。(^^;) 振り返ると、「何でこんなところに住んでんだよ〜〜。」というようなところに家が建っておりましたとさ。。ごめんなさいね、気がつかなくて・・・